こんにちは、米国赴任中のMMです。
現在は米国の証券会社であるチャールズシュワブ証券で株式投資による資産運用を行っていますが、日本帰国後もそのまま利用する予定です。(利用できることは確認済み)
日本では、NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAといった非課税制度があります。
* 非課税制度とは株式の売却益や配当金に税金が掛からないことを指します。(投資金額上限有り)
米国証券会社ではそのような非課税制度の利用をすることが出来ず、利益/配当金に関しては通常通りの税金が掛かります。
投資家にとって税金は最重要科目ですが、通常税率が掛かる米国証券会社を使うことは本当にメリットがあるのか考えてみました。
*今回の記事はコメントを頂きましたRonさんからの「長期投資における出口戦略」をヒントに考えた記事のひとつで、今後何度か出口戦略には考えてみます。
目次
非課税制度をフル活用した場合の投資総額
非課税制度であるNISA、つみたてNISA、ジュニアNISAでは、いずれの口座もそれぞれを通して購入した株式(ETF含む)、投資信託のキャピタルゲイン(売却益)、配当金や分配金は通常20%掛かる税金が非課税となります。
NISAとつみたてNISAは20歳以上が対象でどちらか一方しか選べない、ジュニアNISAは19歳未満の子供が対象となりますので、子供2人の4人家族の場合で総額いくらまで投資できるかを見てみます。
下記は1年間に投資できる総額(上限)と、その隣に通算で投資できる総額を記載しています。(NISAは年間120万円×5年分の合計600万円、つみたてNISAは年間40万円×20年分=合計800万円、ジュニアNISAは年間80万円×5年分=400万円)
夫婦でNISA使用、子供2人分はジュニアNISA使用
夫 | 妻 | 第一子 | 第二子 | 年計 | 通算計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
nisa | 120 | 120 | 240 | 1,200 | ||
ジュニアNISA | 80 | 80 | 160 | 800 | ||
合計 | 120 | 120 | 80 | 80 | 400 | 2,000 |
合計で2,000万円分の投資のキャピタルゲイン、配当金が非課税となります。*この金額に到達するには5年必要
2,000万円の投資で8%の運用益=160万円を出した場合でも掛かる税金はゼロです。(通常は160万円×20%=32.6万円が課税、手取りは127.4万円)
運用金額が大きくなればなるほど非課税のメリットが出てきます。
夫婦でつみたてNISA使用、子供2人分はジュニアNISA使用
夫 | 妻 | 第一子 | 第二子 | 年計 | 通算計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
つみたてNISA | 40 | 40 | 80 | 1,600 | ||
ジュニアNISA | 80 | 80 | 160 | 800 | ||
合計 | 40 | 40 | 80 | 80 | 240 | 2,400 |
合計で2,400万円分キャピタルゲイン、配当金が非課税となります。*この投資金額に到達するには20年必要
2,400万円の投資で年間5%の配当金=120万円を受け取っている場合でも掛かる税金はゼロです。(通常は120万円×20%=24万円が課税、手取りは96万円)
米国証券会社を使用するメリットはある?
上記の通り非課税制度を利用すると2,000万円以上の投資に対しての税金がゼロとなります。
本来掛かる税金がゼロということはその分リターンの向上に繋がっていますので、通常税率が掛かる米国証券会社を使うメリットが無いように思います。
ですが、次の3つのケースにおいては通常税率の米国証券会社を使うメリットがあると考えました。
非課税口座の投資可能総額を超える場合
一つ目は非課税制度の枠を使い切っている場合です。
上記の例だと合計で2,000万円もしくは2,400万円が投資総額の条件でしたが、この金額を超えて運用している人にとってはもう優遇税制は受けられませんので、通常税率の米国証券会社でも問題ありません。
また上記の例は子供2人の家族4人前提でしたが、夫婦だけの場合や単身者は投資枠はもっと低いため、もっと早く枠を使い切る可能性がありますので、よりハードルが低くなります。
このケースはメリットがあると言うよりはデメリットが無い、が正しいですね。
課税されてもリターンが優れている投資先がある場合
二つ目は課税されてもリターンが優れている投資先がある場合です。
利益が5万円で非課税よりも、利益が10万円で税金2万円で手取り8万円の方がより良いリターンですね。
日本の証券会社でも米国の株式、ETFを購入することはできますがやはり限定的で、米国証券会社の方が取り扱い銘柄がかなり多くなっています。
より低コストでリターンを出しているETFであったり、バリュー株やグロース株も選択肢が広くなっています。
また購入手数料の低さやDRIP(配当金再投資制度)などでより多くのリターンが手に入れられる可能性があります。
おそらくメリットとはっきり言えるのはここの部分だと思います。
短期売買を行う場合
NISA口座の場合は一年間で購入できる金額が定められていて、例えば通常のNISAだと年間上限は120万円、一旦120万円分の株式を購入して140万円で売却したら、その年はもうNISA枠を使った投資をすることは出来ません。(損の場合も同様)
自分では短期売買は基本的には行いませんが、ちょっとしたリバランスやより良い投資先に投資したい場合なんかも短期売買と似た過程になりますので、そのようなケースでは米国証券会社でも問題ありません。
こちらも正しくはデメリットが無い、ですね。
基本的には非課税制度を使うべき
株式による資産運用を行う場合、まずは非課税制度を使うべきと考えています。
米国の投資サイトやブログを読んでいても皆非課税制度を上限まで使っている、使おうとしているケースが多いですし、非課税はリターン向上に繋がるためです。
投資を初めて最初の頃は運用金額も大きくなく、課税非課税を意識することはほぼありませんでしたが、やはり運用金額が大きくなるにつれて非課税のメリットを感じます。
ですので、まずは非課税制度の上限一杯まで利用することを考えた方が良さそうです。
我が家の方針
とりあえず日本帰国後は非課税制度での投資額を増やしつつ、現在米国証券会社に残している資産はそのまま運用しようと考えています。
明確な試算をしたわけではないので、もしかしたら全額非課税制度を利用しての運用が良いのかもしれません。
今の所米国証券会社のメリットは取り扱い銘柄が多いこと、具体的にはより低コストのETF(バンガードよりも)があることや、多くの株式に投資できることでバリュー株の対象が広いことです。
一方で非課税のメリットも感じていますし、それを最大限利用しない手もありませんので、やはりしっかり考える必要があります。
まとめ
日本居住者が非課税制度の無い米国証券会社を使うメリットは
- 非課税制度の投資可能総額を超える場合
- 課税されてもリターンが優れている投資先がある場合
- 短期売買を行う場合
で出てきますが、総じてメリットというよりはデメリットがないかな、位でやはりまずは非課税制度を優先にすべきかと思います。
ただ個人的には英語力の維持にもなるし、ニュースや銘柄分析なども優れている、と感じていることも今は使い続けるメリットだと感じています。
いつか非課税額を超える運用金額で出来ると良いなと思います!
コメント
MMさん
ブログ、Twitterいつも拝見し、参考にさせて頂いております。
以前Charles Schwabでの口座継続利用について質問させていただいたSSSと申します。
先日日本に帰国し、同口座を引き続き使用しておりますが、NISA利用のために楽天証券にも口座を開設しました。
NISA枠以外の米国株売買をCharles Schwabでやるか楽天証券でやるか迷っておりますが、為替手数料を考えると楽天など日本の証券口座の方が良いのでしょうか。
確認したところ、もし百万円をドル転した場合、Wire Transferだと手数料約1万円、楽天証券だと+25銭/1USDなので大体手数料2~3千円くらいだと思うのですが、MMさんのご経験からどちらが良いかアドバイス頂けると幸いです。
SSSさん
遅くなり申し訳ございません!コメント頂きありがとうございます!
またTwitter、ブログともにご覧頂きありがとうございます。
ご質問から日本円での給料を元にと理解しておりますが、楽天証券の方が良いかと思います。
Charles Schwabを使用するメリットとしては1)扱っている銘柄が多い 2)売買手数料が安い 3)DRIP(配当自動再投資)が利用できることだと思いますが、1)は楽天証券でも主要銘柄は十分カバーされていること、2)は日本円からの為替手数料⁺手間を考えるとそこまでメリットではない 3) は無くても問題無しと考えることが根拠になります。
実際私も米国で受け取った給料のみでCharles Schwabでは運用しており、日本円給料からドル転して入金することは今の所考えておりません。
結局ドル転も面倒がって日本円給料は日本株に投資をしております。
もし追加で質問あればまた頂ければと思います!