こんにちは、アメリカ株投資家のMMです。
先日から始めた米国株分析+現地レポートですが、前回の記事で dividendsamurai さん よりリクエストを頂きましたので、今回はリクエストを頂いた高品質インテリアを扱うウィリアムズ・ソノマ (WSM)についてレポートをしてみます。
目次
基本情報
ウィリアムズ・ソノマの基本情報をまとめています。
ウィリアムズ・ソノマってどんな会社?
高品質家具/キッチン用品を販売する専門店になり、上場しているニューヨーク証券取引所でのカテゴリは小売業に分類されています。
創業は1956年アメリカのカリフォルニア州ソノマで、従業員数は2.7万人、全米に約612店舗を構えています。
元々はキッチン用品店として事業を行っていましたが、家具、子供用衣料品に業務を拡大し、現在では下記の通り5つの主要ブランドを持っています。
ブランド | カテゴリー | 売上比率 |
---|---|---|
ポッタリーバーン | 家具 | 41.7% |
ウィリアムズソノマ | キッチン用品 | 20.0% |
ウェストエルム | 家具 | 16.5% |
ポッタリーバーンキッズ | 衣料 | 12.9% |
PBティーン | 家具 | 5.1% |
その他 | 3.9% |
以前日本でもウィリアムズソノマの店舗があったようですが、現在は撤退しています。
ポッタリーバーンやウィリアムズソノマ、ポッタリーバーンキッズは日本でも有名で、BUYMA等で購入する人も多いようです。
また最近日本でもハロウィンが文化として根付いていますが、子供用の仮装衣装としてポッタリーバーンキッズが人気になっています。
ウィリアムズソノマ全体のイメージとしては、日本の Unico(ウニコ) が近いかもしれません。
CEO
ウィリアムズソノマの2017年3月現在のCEOはローラ・アルバー(Laura J. Alber)氏が2010年から勤めており、それ以前はウィリアムズソノマの傘下で、グループの40%以上の売上を占めるポッタリーバーンのトップを勤めていました。
CEOに選出された2010年時点では、全米で10番目に給料が高いビジネスウーマンとなっています。(年間約14億円)
2011年にはカリフォルニア州サンフランシスコで最も影響力のある女性に選出されています。
3人の子供を育てながらキャリアを積んでいったワーママでもあります。
競合状況
ウィリアムズソノマ は家具業界に分類されますので、アメリカ家具業界での立ち位置を確認してみます。
アメリカのインテリア情報サイト the spruce が企業ランキングを出していましたので参照してみます。
順位 | 企業 |
---|---|
1 | アシュリーファーニチャー |
2 | イケア |
3 | ウィリアムズソノマ |
4 | バークシャーハサウェイファーニチャー |
5 | レイモア&フラニガン |
6 | ラズボーイファーニチャー |
7 | アメリカンシグネイチャー |
8 | レストレイションハードウェア |
9 | クレイト&バレル |
10 | イーサンアレン |
ここでは3位になっています。
近年アメリカでは e-commerce(電子商取引、ネット通販)が急速に拡大していて、実店舗での売上は減、ネット売上増という傾向が顕著に表れています。
下記は2015年の アメリカにおける E-commerce(ネット販売)の売上高順位となりますが、キッチン/家具取り扱いとしては唯一ウィリアムズソノマがランクインしています。
順位 | 企業 | 売上高 (10億ドル) | 売上高(兆円) | ネット比率 |
---|---|---|---|---|
1 | Amazon | 79.27 | 8.7 | 74% |
2 | ウォルマート | 13.48 | 1.5 | 3% |
3 | アップル | 12.00 | 1.3 | 5% |
4 | ステイプルズ | 10.70 | 1.2 | 56% |
5 | メイシーズ | 4.83 | 0.5 | 18% |
6 | ホームデポ | 4.27 | 0.5 | 5% |
7 | ベストバイ | 3.78 | 0.4 | 9% |
8 | QVC | 3.72 | 0.4 | 43% |
9 | コストコ | 3.62 | 0.4 | 3% |
10 | ノードストローム | 2.70 | 0.3 | 19% |
11 | ターゲット | 2.52 | 0.3 | 3% |
12 | GAP | 2.52 | 0.3 | 16% |
13 | ウィリアムズソノマ | 2.50 | 0.3 | 51% |
14 | コールズ | 2.37 | 0.3 | 12% |
15 | シアーズ | 2.06 | 0.2 | 8% |
ネット販売比率が51%と半分以上を占めており、ネット専業のAmazonを除くと数あるアメリカ企業の中でもトップランクに位置し、ネット販売に強みを持っていると言う事ができます。
財務状況
ここからはウィリアムズソノマの財務状況を纏めています。
売上推移
2012年から2016年の売上データになります。
2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | |
---|---|---|---|---|---|
売上(10億ドル) | 3.72 | 4.04 | 4.39 | 4.7 | 4.98 |
売上(億円) | 409.2 | 444.4 | 482.9 | 517.0 | 547.8 |
前年比 | 109% | 109% | 107% | 106% |
2012年からは毎年5%以上の対前年プラスを維持しています。
苦戦が続く小売業界としてこの成長は目を見張るものがあり、その一つに E-commerce の売上増があります。
早くからネット販売に切り替えたことで現在は売上比率が50%を超え、製品力・ブランド力は元々あることから販売を伸ばしています。
EPS推移
同じく2012年から2016年のEPS推移になります。
*EPS(一株あたりの利益) = 当期純利益 ÷ 発行済み株式数
2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | |
---|---|---|---|---|---|
EPS | 2.22 | 2.54 | 2.82 | 3.24 | 3.37 |
前年比 | 114% | 111% | 115% | 104% |
売上と同様に毎年着実に伸ばしています。
売上も伸ばし、EPSも伸ばしていることから株主フレンドリーの優良企業と言う事が出来ます。
バリュー株の基準に合うか
いつも株を買うときはベンジャミン・グレアムの7つの基準に合わせて、条件が合えばバリュー株であると判断し購入するようにしています。
項目 | 基準 | WSM |
---|---|---|
S&P格付け | B以上 | – |
負債比率 | 1.1倍未満 | 0.11 |
流動比率 | 1.5倍以上 | 1.3 |
EPS成長 | 5年連続 | 5年 |
PER | 9倍未満 | 14.4 |
PBR | 1.2倍未満 | 3.7 |
配当金の有無 | 有 | 有 |
*S&Pによる格付けはされていませんが、各アナリストからはAランク同等の信用があるとし、クリアしているものとします。
7つの基準の内満たしているのは4項目となりますので、グレアムの基準に則るとバリュー株では無いという判断となります。
あくまで投資判断の一つですので、見方次第では買うべきとの判断にもなりますので、あくまで参考程度です。
ただここまで伸ばしている企業にしてはかなり割安に見えますので、個人的にはもう少し安くなればぜひ買いたいと思います。
現地生活者から見たウィリアムズソノマ
ここからは一消費者としてのターゲットをレポートします。
僕自身、家具やキッチン用品にそこまで思い入れがあるわけではないのですが、ここらの業界は妻が詳しいので妻の知恵を借りてのレポートになります。
ウィリアムズソノマは全体的には最初に書いたとおり、日本の Unico(ウニコ)にイメージが近いです。(Unicoより品質も値段も少し上です)
数あるブランドの中でキッチン用品を扱う本流のウィリアムズソノマブランドは、大抵大きめのモールに入っていることが多く、我が家の近くにもあります。
店舗の雰囲気も良く、自社ブランドやルクルーゼ、ストーブといったブランドも多く取り扱うセレクトショップ的な所もあります。
取り扱う種類も多く、オシャレなモノが多いことから若い世代からも支持を受けています。
また力を入れている通りネット販売でも多くの在庫を取り揃えており、我が家もブラックフライデーでストーブの鍋を安く手に入れました。
ポッタリーバーンでの買い物経験はありませんが、ウィリアムズソノマ同様大きなモールが入っていることもありこちらもオシャレな感じです。
競合企業は上記に色々と挙げていますが、一番雰囲気が近いのが クレイト&バレル になり、妻の分析によるとアメリカ家具・キッチン用品界の2大勢力です。
ただ規模とブランド力に勝るウィリアムズソノマの方が強みがあります。
製品力・ブランド力に加えて、ネットでも豊富な商品があるとなれば、今のアメリカの消費者傾向を考えると業績が伸びているのも当然と言えるかもしれません。
まとめ
バリュー株の観点からはウィリアムズソノマは外れてしまいますが、市場のトレンドをしっかり掴んで業績に結び付けている良い企業と言う事が出来ます。
ここまで右肩上がりの業績は見ていて気持ちが良いですね。
それでいて成長企業のように全く割安から離れているというわけではないので魅力に感じます。
今後も同様に人気投資先の分析と合わせて現地レポートを書いていきたいと思います。
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コメント
大変わかりやすいレポート有難うございます。店舗が若者に人気があるということは好材料ですね。ただ、割高株だったのですね。これを先に読んでいたら火曜日にポジションを作らなかったかもしれません(笑い)。今後も様々な視点での分析・実地レポートを楽しみにしております。
dividendsamurai さん
コメントありがとうございます!
WSMの決算が昨日だったこともあり、依頼を頂いてから記事を書くまで時間が掛かってしまいました。
ベン・グレアムの基準はかなり厳しいのであくまで参考までかなと思います。
ただ個人的には割安ではないですが、決して割高という印象はありません。
昨日の決算で値上がりしたようですので、火曜時点であれば今よりも割安だったと思いますので、良いタイミングだったと思います!
はい、またレポートを書いていきたいと思いますので、リクエストありましたらご連絡ください!
自分にとっても勉強になりますので!
[…] MM, a Japanese blogger living in the US, just today posted his analysis on WSM. According to the post, WSM is not a value stock as the following metrics show. I should have waited until WSM downs more? […]