こんにちは、MMです。
米国駐在中にチャールズシュワブ証券に口座を開設、帰国後も引き続き取引に利用しています。
投資スタイルはコアはインデックスETF、サテライトしてバリュー株投資を行っています。
割高な状況が続く米国市場ですが、今回セムトレックス(CETX)という企業に投資を行いましたので、企業分析、選定理由を記しておこうと思います。
目次
基本情報
セムトレックス(CETX) の基本情報をまとめます。
セムトレックス (CETX)ってどんな会社?
1998年にデラウェア州で設立、工場での規制汚染物質の排出量監視機器
新興企業が多いNASDAQ市場に上場、業種はIT・通信に分類されており、本社はニューヨーク州、従業員は577人となっています。
2017年にはデロイトが選ぶTMT(テクノロジー・メディア・通信)分野の成長企業トップ500にも選出されています。
時価総額は2018年5月時点で2600万ドル(30億円弱)と規模が小さく、スモールキャップに区分されます。
主要部門
収益部門は大きくEMS(電子機器の受託生産)、IPS(産業用
EMSとは受託生産、製造はもちろん、開
産業としては、自動車、医療、産業用機器、通信、ウェアラブル端
IPSとは産業機器販売・サービスを指しますが、セムトレックスの場合は創業時から強みにしている工場向けのエアーフィルターや環境コン
製造業、石油・ガス、化学、重化学工業との取引を持っています。
ITは買収により技術力をつけ、IoT、ウェアラブルデバイス、VR等の技術を使い、製造プロセスのソリューションだけでなく、コンシューマ向けにも力を入れています。
主要顧客としては、シェブロン、メルセデス・ベンツ、現代自動車、シュナイダーエレクトロニクス、コーニング、ハーマン等がいます。
今後の戦略
EMS
2018年現在のEMS市場の規模は約52兆円、2019年には約55兆円、2020年には約56兆円となっており、成長が続く市場となっています。(参照:New Venture Research.com)
生産設備を持たないスタイルは経営を効率化させるため、今後も増えていく見込みです。
EMSに関しては買収戦略での拡大路線に舵を切っており、現在もキーボードのEMSに強みを持つキートロニックとの買収を進めています。
IPS
日本、米州、欧州、そしてアジアでも、近年環境に関する規制が厳しくなってきています。
排ガスや有害物質を出す可能性のある工場は特に配慮する必要があり、環境監視機器市場は年々大きくなってきています。
PR News Wire.comによると2015年から2020年までの環境監視機器市場の成長率は毎年7.5%、2020年までに市場金額は23兆円に届く見込みです。
こちらも買収による拡大戦略を進めており、同業のAISを買収後、設置、最適配置、メンテナンスを一括で管理可能になり、顧客側の大幅コストダウン実現が強みになっています。
IT(先端技術)
既存のビジネスを拡大させつつ、効果的な買収により更に売上・利益の拡大を目指していくことが年次報告書で明言されています。
またAIやVRといった新興技術の取り込みによる新規事業、既存ビジネスとのコラボレーションにより、成長の加速化を進めていく狙いです。
モーションキャプチャに強みを持つViconの株式を約半数取得
また今年中に製造プロセス改善のVRアプリ、スマートデスク、ゲ
こちらはスマートデスクの参考画像です。未来を感じますね。(Cemtrex HPより)
Markets And Markets によるとスマート教育市場は2016年時点で全世界で21兆
円規模、年平均成長率は25%の見込みで、2021年には65兆
す。
VR市場も2016年時点では全世界で2200億円、年平均成長
2022年には3兆円に到達する見込みです。(参照:Globa
財務状況 (2018年5月22日時点)
ここからは セムトレックス の財務状況を纏めています。
売上推移
2013年から2017年の売上データになります。
2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | |
---|---|---|---|---|---|
売上(100万ドル) | 13.7 | 47.7 | 56.9 | 93.7 | 120.6 |
売上(億円) | 15.0 | 52.4 | 62.6 | 103.1 | 132.7 |
前年比 | 349% | 119% | 165% | 129% |
右肩上がりの成長を続けていて、過去5年で売上が9倍になっています。
EMS市場、環境機器で伸ばしていることもありますが、頻繁に行っている買収により売上を伸ばしています。
今後も買収を積極的に行っていくため、成功していけば今のペースで売上が増えていくことが見込まれます。
EPS推移
同じく2013年から2017年のEPS推移になります。
*EPS(一株あたりの利益) = 当期純利益 ÷ 発行済み株式数
2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | |
---|---|---|---|---|---|
EPS | 0.04 | 0.39 | 0.4 | 0.58 | 0.31 |
前年比 | 975% | 103% | 145% | 53% |
買収を行うと支出が増えるため、利益の減、EPSの減に繋がります。
2017年はVR企業を買収したため、その費用の支払いで利益減、EPS減に繋がっています。
今後も買収の際には同じような状況になることが考えられます。
バリュー株の基準に合うか
いつも株を買うときはベンジャミン・グレアムの7つの基準に合わせて、条件が合えばバリュー株であると判断し購入するようにしています。
項目 | 基準 | CETX |
---|---|---|
S&P格付け | B以上 | – |
負債比率 | 1.1未満 | 0.43 |
流動比率 | 1.5以上 | 2.4 |
EPS成長 | 5年連続 | 4年 |
P/E | 9未満 | 8.37 |
P/B | 1.2未満 | 0.8 |
配当金の有無 | 有 | 有 |
7つの基準の内満たしているのは5項目となりますので、厳しくみると基準を満たしていないことになりますが、今回投資をすることにしました。
厳密に言うとバリュー株投資の対象は大企業になると思いますが、
- 規模は小さいながらも財務状況が安定していること
- 以前からチェックをしていて決算で株価が急落していたこと
- サテライトとして個別株を持ちたかったこと
か理由で投資を決めました。
投資金額は$1,000(11万円)、半額や価値ゼロになっても諦めがつきますし(実際はショックを受けそうですが‥)、もしかしたら2倍3倍になってくれるかもしれません。
バリュー投資というよりはグロース投資のような気がしますが、今までこのやり方でやってきましたので、今回も信じてやってみようと思います。