こんばんは、MMです。
現在海外赴任中の身で、その海外赴任生活も4年を超えましたが、この4年の間でアメリカ人の同僚が5人程転職をしていきました。
海外赴任前はあまり転職の話を聞いたこともありませんでしたし、実際に転職している人もいなかったので、最初は「こんなに会社を変えるものなのか」とちょっとカルチャーショックでしたが、今は「これが普通なんだ」と思うようになりました。
個人的には転職がしやすい環境というのは働き手にはメリットがあることだと思いますし、その国の経済全体にもプラスになると思いますので、良い事だと考えています。
転職がしやすいということは極端にいうと労働者側にもいつでも辞められるという精神的なゆとりが持てることにも繋がりますし、労働環境が悪い所には人が集まらないもしくは人が辞めて改善せざるを得なくなり、全体の労働環境の向上が見込めます。
さらに良い人材が何社にも渡ることでその国全体にも経済に良い影響があります。
僕自身も精神的ゆとりのためと、今の勤務先が未来永劫続く保障はありませんので給料確保のために他で働けるよう転職の準備だけはしようと考えています。(副業含めて)
それでも世界的に見ると日本の転職事情というのはまだまだハードルが高く、回数も少ないのですが、個人的にはもっともっと転職が当たり前になってほしいと思います。
そこで今回は転職大国アメリカの事情とそのメリットを紹介していこうと思います。
the balance というサイトの How often do people change jobs? に丁度アメリカの転職について書いてありましたので、この記事も参考にしていきます。
目次
アメリカ人の平均転職回数
米国労務省のデータによるとアメリカの労働者の平均転職回数は12回です。
このデータでの転職とは「職」を変える事ですので、同じ会社の別の部門に変わることも1回に数えられます。
日本では社内のジョブローテーションがあるため、一定期間で部署異動を命ぜられますが、アメリカでは自ら声を出さない限り部署変更はありません。
部署が変わるということは求められる能力も、担当する業務も変わるということですので、転職という扱いになります。
40年間働くとした場合、3年もしく4年に一度転職しているという計算になります。
部署異動と考えると日本の会社ではこの位に頻度で行っている所も結構ありそうですが、アメリカの場合は転職ですので、人脈も一からですし、必要なスキルも変わりますので、そう考えると多い感じがしますね。
でも自分に合う職場には長くいる傾向がありますので、合わないと感じたらすぐ辞めるために12回という回数の多さにつながっているのかもしれませんね。
アメリカ人の転職理由
転職をするためには勿論何かしらの理由がありますが、記事の中では上位8位までの理由が紹介されています。
給料アップ
これは日本と同じですね。
働く上で給料は非常に大事なものです。
お金は生活していく上で不可欠なものですし、有限の時間を使って自分のスキルを売るわけですので、働くのであれば給料は高い方が良いです。
今の勤務先の給料が世間一般と比べて安すぎる、自分の能力が正当に評価されていない、新しい勤務先のボーナスが良い等、貰える給料を基準に転職するというのは至極真っ当な理由です。
アメリカでは職で給料がほぼ決まっていますので、基本的には日本のような定期昇給のものはなく、給料を上げるためにはいわゆる昇格(プロモーション)か、職を変えるしかありません。
給料が大きく変わるのは転職の方ですので、転職を選ぶ人が多くなっています。
キャリアアップ
これも日本では上位の理由で、給料アップに繋がる所があります。
日本と違ってアメリカにはジョブローテーションや部署異動によって従業員を育てるとか幹部候補を育成するという考えはありません。
会社に就社するのではなく、割り振られた職に就職するといった感じで、他の業務をやってみたいとか、チームをマネジメントする立場になってみたい等とキャリアアップを考えている人は転職をします。
同じ会社でも別の分野のマネージャー職(課長職)が空いているから、そのポストに転職して自らのキャリアを作っていきます。
キャリアを作ることでより大きな会社、より条件が良い会社へのステップアップが可能になりますので、望む人はどんどん転職をしていきます。
新しい地域へ移住のため
個人的にこの理由はとても好きです。
日本のように会社の辞令により引っ越しを伴う転勤というのは基本的にはアメリカにはありません。
あくまで住む場所ありきで、その近くにある職場で働くことが多いです。
そのため別の場所に住みたくなったら、今の仕事は辞めて、新しい移住先で仕事を探します。
僕自身も日本に帰国後は少し田舎に住みたいと考えていますので、職を変えることを視野に入れています。
勤務先ありきで住居や生活スタイルが決まるのではなく、住みたい場所、求める生活スタイルから仕事が決まるような文化が広まると幸せに暮らせる人が増えるかもしれませんね。
ストレスの軽減
これもとても重要なことですね。
仕事というのはあくまで人生における手段ですので、仕事をするために生きているわけではありません。
仕事が原因でストレスがたまってしまい、生活に悪影響を与えるのであればその仕事を変えるというのは良い判断ですね。
アメリカ人は「自分の身は自分で守る」という考えが浸透していることと、人生を楽しむという考えがあるためか、その人生を楽しめない要素をスッパリ切ることができるのかもしれません。
ストレスが多い職場でどんどん人が辞めていけば会社側は労働環境を改善するか潰れるかしかありませんので、どちらにせよ働き手としてはプラスに働きますね。
無能もしくは否定的な上司からの脱出
これはかなり切実な問題ですね。
いくら業務内容や周りの同僚に恵まれたとしても、上司と合わなければストレスは一気に増してしまいます。
日本だと合わない上司とあたった場合は、我慢するか、自分か上司かがどちらかが異動になるのを待つという選択肢しか基本的にはありません。
ですが、アメリカでは合わないと感じたらすぐ転職をします。
でもこの行動も双方に良い結果をもたらすと思います。
本当に問題がある上司であれば誰が来てもすぐ辞めていきますので、その上の上司が問題があることに気づき降格になります。
もし問題が無ければ単純に合わないということになりますので、合わないまま仕事をしていてもお互いに良いことはありませんので、一緒に仕事をしないことは双方のメリットにも繋がりますね。
ワークライフバランス
ワークライフバランスとは仕事と私生活の両立を指します。
仕事だけではなく、私生活の充実を重視するといった意味合いが強いです。
海外赴任を経験して思うのですが、アメリカ人は本当にプライベートの時間を大事にします。
定時が来たら皆一斉に帰路につき、それぞれ家族との時間、友人との時間、一人の時間を過ごします。
基本的に残業をするという概念はありません。
ですので、このようなプライベートを大切に出来ない職場である場合はその環境を変えるために転職をします。
スキルや能力が仕事にあわない
自分のスキルや能力が仕事にあわないことほど悲しいことはありませんね。
アメリカでは職を応募する際に具体的に何をやるかと求められる能力が決まっていますが、就職が厳しいときは多少専門外の所でも応募をしたり、実際働いてみたら求められている能力が若干違うことがあります。
ですが自分の本来の力を出すことが出来ません。
そういう場合は自分のスキル能力が合うところに転職をします。
労使のミスマッチが合った場合は自ら解決していきます。
会社のオフィスが移転するため
これはちょっと面白かったのですが、会社のオフィスが移転して通勤が長くなるとか最悪転居を伴うとなった場合に転職をするようです。
プライベートを大事にするアメリカ人らしいのですが、今の地域での生活の方が大事ということですね。
こういう判断が出来るのは良いなと思います。
転職しやすいことのメリット
上記のアメリカ人の転職理由がそのまま転職しやすいことのメリットと言えますね。
僕が個人的に思う転職しやすいことのメリットというのは、冒頭でも述べているようにいつでも辞められるという精神的なゆとりが持てることです。
他に働き先が無い状態 = 今の勤務先が無くなれば極端な話路頭に迷うという公式が成立してしまい、理不尽なことやストレスに感じることを受け入れざるを得ません。
そのような状況では疲れてしまいますし、いつか体も壊してしまいます。
いつでも辞められるということはいつでも働けるということ、もしいつでも働けるのであれば、1回辞めて1年間好きなことをしてそのあとまた働くという選択肢もあります。
いつでもどこでも働くことが出来れば勤務先に人生を決められるのではなく、自分の歩みたい人生に勤務先を合わせることが出来ます。
僕自身はそんな人生を歩みたいと考えています。
まとめ
転職というのは何も給料アップやキャリアアップといった高尚のものである必要はありません。
今の職場が嫌だから、何か合わないから、別の場所に住みたいから、等もっと気軽に出来るべきものだと思います。
個人的に日本が更に住みやすくなるためには、労働市場の流動性が高くなることが必要だと考えています。
学校を卒業して同じ組織でずっと定年まで働き続けるという生き方は疲れてしまいますし、雇用側も辞めない前提だと労働環境の問題点に中々気づくことが出来ません。
自分の子供を含む次世代のためにも、気軽に転職できる風土が出来たら良いなと本気で考えています。