こんにちは、海外赴任中のMMです。
グローバル化の波とともに、近年は外国へ行く事のハードルが大きく下がり、海外が身近になってします。
海外赴任に関しても、以前は役職者や特定の専門職の人が行く事が多かったですが、年々その数は増えてきており、男女問わず若手でもどんどん海外に出ています。
一方日本で共働き世帯が増加傾向を見せ、厚生労働省のデータでは、2014年時点で専業主婦(夫)世帯 687万に対し、共働き世帯 1114万世代と差が広がってきています。
海外赴任者が増えていると同時に共働き世帯が増えているということで、共働き世帯のどちらかが海外赴任になるというケースも当然増えてきます。
もしそのような状況になった場合、状況にもよりますが基本的にはどちらかが仕事を辞めて帯同することが多いです。
我が家の場合もまさにそのケースで、妻が仕事を辞めて帯同することになりました。
海外赴任をすると確かに普段出来ないような経験ができたり、プラスのことも多いですが、お金の面を考えた時、共働き夫婦にとってどちらかが仕事を辞めて帯同するという判断は経済的合理性があるのでしょうか?
目次
共働き夫婦の平均生涯賃金
まずは共働き夫婦の平均生涯賃金(退職金除く)ですが、独立行政法人 労働政策研究・研修機構の2016年度のデータを参考にしてみます。
性別 | 学歴 | 生涯賃金 |
---|---|---|
男性 | 大学卒・大学院卒 | 2.77億円 |
高専・短大卒 | 2.43億円 | |
高校卒 | 2.46億円 | |
女性 | 大学卒・大学院卒 | 2.35億円 |
高専・短大卒 | 1.99億円 | |
高校卒 | 1.82億円 |
* (労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計2016』)より
このデータを基にすると、大卒同士の夫婦の場合の生涯賃金は 5.12億円、高専・短大卒同士の場合は 4.42億円 、高卒同士の場合は 4.28億円 となります。
一般的にサラリーマンの生涯賃金は 2.5億円と言われることが多いですが、共働きで定年まで働き続けると、いずれの学歴の場合でも大卒サラリーマンの生涯賃金を大きく上回ることが分かります。
海外赴任による収入増
次に海外赴任をした場合の収入増ですが、これは勤め先による所が多いため一概にいう事が出来ません。
ですので自分の感覚ですが、5年間の赴任生活によって生涯賃金は 1,150万円 押上げられます。
根拠としては、日本に振り込まれる手当+ボーナスが年間230万とした場合の5年分になります。
(参照記事 海外駐在をすると貯金は年間どれくらいできるもの?、 海外赴任後の給料ってどうなる?現役海外駐在員が仕組みを解説してみる)
会社によっては海外赴任は昇進へのステップとなり、年収が上がることもありますが、最近の海外赴任は部署異動の一つと捉えられているため、この1,150万円のみを海外赴任による生涯賃金増とカウントしています。
女性の海外赴任者も増えているものの、夫婦で海外赴任をする率が高いのは現在の所は男性側なので、男性が海外赴任をした前提での生涯賃金は下記の通りになります。
性別 | 学歴 | 生涯賃金 |
---|---|---|
男性 | 大学卒・大学院卒 | 2.89億円 |
高専・短大卒 | 2.55億円 | |
高校卒 | 2.46億円 |
一般的にはどちらが得?
額面で見た場合、生涯賃金が多いのは明らかに海外赴任をしないで夫婦共働きを続ける方です。
女性が働き続けた場合、いずれの学歴の場合でも約2億円の生涯賃金に繋がりますが、海外赴任をしたとしても、サラリーマンとして生涯賃金を2億円増やすことはどんなに出世をしたとしてもまず不可能です。
ただこの比較をするには、いくつか別の条件も考慮しなければなりません。
海外赴任には生涯賃金に含まれない得がある
海外赴任をすると、住宅費、医療費、学校教育費の一部が免除されます。
住宅費はもし家賃10万円の所に住んでいれば、5年間で600万円に相当します。
医療費は健康であれば掛かることはありませんが、学校教育費は大きいですね。
学校教育費は国によりますが、子供一人あたり100万円から200万円程の補助が出るイメージで、英語が習得出来れば英語の塾代も実質貰えたようなものですね。
海外赴任後に再就職
海外赴任後に再就職すれば生涯賃金を上げることが出来ます。
ただ3年程度のブランクであればまだしも、5年~7年のブランクとなった場合は再就職が難しくなったり賃金が大きく下がってしまうケースがあります。
正しいデータを持っているわけではありませんが、海外赴任帯同で一旦仕事を辞めてしまった場合、専業主婦になる確率は高いと思います。
海外赴任中も働く
海外で働く場合は就労ビザが必要になりますが、配偶者に与えられる配偶者ビザでも働くことは出来ます。
海外赴任中に働ければ生涯賃金が上がりますし、キャリアに穴をあける事もありません。
ですが、配偶者が働いた場合は海外赴任の諸々の手当の範囲外になる事が多く、ある程度の金額を稼げなければ収支はマイナスになってしまいます。
また仕事も一から探さなければなりませんし、異国で働くには語学力も文化の理解も必要なので、かなりハードルが高いですが、可能性の一つではあります。
我が家の場合
我が家の場合も海外赴任前は共働きでしたので、辞令を出されてから話し合いの後、妻が仕事辞めて帯同することになりました。
夫婦共に大卒でしたので、定年まで働いた場合 5.12億円の生涯賃金でしたが、海外赴任によって現在は 2.8億円 (1,150万円のプラス込み) と現時点では額面が大幅に減ったことになります。
また妻は仕事を3年半で辞めていますので、再就職の際の職歴の少なさと海外赴任の間のブランクがネックになります。
実際に海外赴任をする時にここまで生涯賃金までを含めて考えることが出来ていませんでしたが、額面だけで判断をすると我が家の場合も日本で共働きでいた方が得だったと言えます。
海外赴任のプラス
ですが、海外赴任にもプラスの点は多くあります。
上で挙げた手当の分もそうですが、それ以上に自分達の視野を広げてくれたり、新しい考えに触れられることもそうです。
アメリカに来てから、英語力の向上はもちろんですが、仕事とプライベートのバランスや、文化の多様性を身に付けられたこと、等月並みですがお金には変えられない経験が出来ています。
いや実際にお金に換算したら何千万円分の価値があるかもしれません。
自分で行動することはいくらでも出来ますし、得た能力を活かして日本に戻ってきてからそれを収入に結びつけることも出来ます。
人によっては日本で共働きを続けるより、少ないストレスで生涯賃金を多くすることも出来るかもしれません。
海外赴任の経験をどのようにでも生かすことが出来ます。
まとめ
額面だけで見ると、海外赴任のタイミングで共働きのどちらかが会社を辞めるよりは、共働きを続けた方が得で経済的合理性があると言えます。
ただ海外赴任には額面には表れない手当もありますし、金額換算できない経験も出来ますし、海外生活の経験を活かして更なる収入に結びつけることも出来ます。
個人的には海外赴任中も配偶者が働ける環境があるのが理想で、世界中でも海外赴任者はかなりいるので、どこかの国やIT企業がそのような需要をビジネスにしてくれると良いですね。
ただやっぱりお金以上に学べることも多いので、海外赴任をする方が価値があると思います。