こんにちは、兼業投資家のMMです。
現在アメリカに赴任中ですが、少しでも資産を増やすために米国の現地証券会社 (Charles Schwab) を使って株式投資を行っています。
日本には「源泉徴収有りの特定口座」という確定申告不要の選択肢があります。
ですがアメリカにはそのような選択肢はなく、投資実績の有無に関わらず全員に確定申告が義務付けられています。
アメリカの税制は複雑ですが、投資で利益が出ていたとしても、税金でどの位引かれるを知らないとその利益は絵に描いた餅で実態を掴むことができません。
今回の記事では株式の売却益(キャピタルゲイン)に掛かる米国の税金の考え方を紹介しようと思います。
目次
キャピタルゲイン(売却益)税率を決める3要素
日本でのは株式売却益に対して20.315%の税金が掛かりますが(参照 みずほ証券HP)、米国では一律の税率では無く、人によって変わります。
米国におけるキャピタルゲイン税は連邦税(Federal Tax)、州税(State Tax)から構成されています。
キャピタルゲイン(売却益)税率を決めるのは以下の3要素になります。
- タックスブラケット(所得区分)
- 株式の保有期間
- 居住州
それぞれに関して補足をしてみます。
タックスブラケット(所得区分)
タックスブラケットという言葉は日本では聞きなれませんが、収入によって支払う税金(連邦税)が決まる所得区分を意味します。
連邦税においては、日本と同じように収入が高い人が多くの税金を払う累進課税制度を採用していますが、収入が7つの区分に分けられ、それぞれに税率が充てられています。
タックスブラケットは以下のようになっています。(参照 Tax Foundation)
税率 | 収入(米ドル) | 収入(日本円) |
---|---|---|
10% | – $9,325 | -103万円 |
15% | $9,326 – $37,950 | 103万円 – 417万円 |
25% | $37,951 – $91,900 | 417万円 – 1,011万円 |
28% | $91,901 – $191,650 | 1,011万円 – 2,108万円 |
33% | $191,651 – $416,700 | 2,108万円 – 4,584万円 |
35% | $416,700 – $418,400 | 4,584万円 – 4,602万円 |
39.6% | $418,401 – | 4,602万円 – |
* ここでの税率とは通常の連邦税(Federal Tax)の所得税率を指します。
キャピタルゲイン税はまず自分がどのタックスブラケットにいるかを知る必要があります。
株式の保有期間
米国のキャピタルゲイン税は、株式の短期保有(1年未満)と長期保有(1年以上)で税率が変わります。
短期保有の方が税率が税率が高く、長期保有の方が税率が低く抑えられていますが、この税率により長期投資をするように促しているとも受け取れますね。
上記のタックスブラケットの中で、短期保有か長期保有化で連邦税(所得税)が決まります。
下記がその対応表になります。(参照 Nerdwallet)
税率 | 収入(米ドル) | 短期保有 | 長期保有 |
---|---|---|---|
10% | – $9,325 | 10% | 0% |
15% | $9,326 – $37,950 | 15% | 0% |
25% | $37,951 – $91,900 | 25% | 15% |
28% | $91,901 – $191,650 | 28% | 15% |
33% | $191,651 – $416,700 | 33% | 15% |
35% | $416,700 – $418,400 | 35% | 15% |
39.6% | $418,401 – | 39.6% | 20% |
例えば年収5万ドル(550万円)の人が株式の短期保有で5,000ドル(55万円)の売却益を得た場合、連邦税は25%が適用されますので、5,000ドル×25% = 1,250ドルが支払うべき連邦税となります。
また年収が 37,950ドル(417万円)未満の人が長期保有で売却益を得た場合は、連邦税は掛からないことになります。
年収が高い人程、短期保有と長期保有の税率に開きが出てきますので、より長期保有の方が税金的には有利になります。
居住州
キャピタルゲイン税は連邦税と州税から構成されていて、連邦税は上記の通りタックスブラケットと株式保有の期間で決まります。
州税は住んでいる州によって決まり、一律となっています。
下記が各州のキャピタルゲイン税率になります。(参照 Tax Foundation)
州 | 税率 |
---|---|
カリフォルニア | 13.3% |
オレゴン | 9.9% |
ミネソタ | 9.9% |
ニュージャージー | 9.0% |
バーモント | 9.0% |
アイオワ | 9.0% |
ワシントンDC | 9.0% |
ニューヨーク | 8.8% |
メイン | 8.0% |
ウィスコンシン | 7.7% |
アイダホ | 7.4% |
ハワイ | 7.3% |
アーカンザス | 7.0% |
サウスカロライナ | 7.0% |
モンタナ | 6.9% |
ネブラスカ | 6.8% |
コネチカット | 6.7% |
デラウェア | 6.6% |
ウェストバージニア | 6.5% |
ジョージア | 6.0% |
ケンタッキー | 6.0% |
ミズーリ | 6.0% |
ロードアイランド | 6.0% |
ルイジアナ | 6.0% |
メリーランド | 5.8% |
ノースカロライナ | 5.8% |
バージニア | 5.8% |
オハイオ | 5.4% |
オクラホマ | 5.3% |
マサチューセッツ | 5.2% |
イリノイ | 5.0% |
ミシシッピ | 5.0% |
ユタ | 5.0% |
アラバマ | 5.0% |
ニューメキシコ | 4.9% |
カンザス | 4.8% |
コロラド | 4.6% |
アリゾナ | 4.5% |
ミシガン | 4.4% |
インディアナ | 3.4% |
ノースダコタ | 3.2% |
ペンシルバニア | 3.1% |
テネシー | 0.0% |
ニューハンプシャー | 0.0% |
アラスカ | 0.0% |
フロリダ | 0.0% |
ネバダ | 0.0% |
サウスダコタ | 0.0% |
テキサス | 0.0% |
ワシントン | 0.0% |
ワイオミング | 0.0% |
米国平均 | 5.2% |
連邦税と州税を足したものがキャピタルゲイン税率となります。
年収が100,000ドル(1,100万円)で、長期保有、かつカリフォルニア州に住んでいる場合の税率は 28.3% となります。
- 年収 100,000ドル = タックスブラケット 28%
- 長期保有 = 15%(連邦税)
- カリフォルニア在住 = 13.3% (州税)
- キャピタルゲイン税率 = 28.3%
また年収が37,950ドル(417万円)未満で、長期保有、かつテキサス州に住んでいる場合のキャピタルゲイン税率は0%となります。(但し住んでいる地域によってはローカル税が掛かる可能性があるので要確認)
キャピタルゲイン(売却益)も収入に含まれる
気をつけておきたいのがキャピタルゲインも収入に含まれることです。
例えば上記の年収が37,950ドル(417万円)未満で、長期保有、かつテキサス州に住んでいる場合のキャピタルゲイン税率は0%となりますが、キャピタルゲインが5万ドルを超えたりすると、タックスブラケットが25%の区分となり、連邦税が15%掛かることになります。
ここでの収入はあくまで課税所得ですので、何かしら課税所得を下げる手段はありますが、注意しておきたい項目です。
海外駐在員のキャピタルゲイン税は?
海外駐在員でキャピタルゲイン(売却益)を得ている場合は少し事情が変わります。
というのも、もちろん海外駐在員も全員確定申告の義務がありますが、会社が契約している監査法人(会計士)が一括で請け負っているケースがあり、通常のアメリカ人と確定申告が若干異なります。
通常はキャピタルゲイン税はその利益を得ている個人が支払うものですが、企業によっては元から少し多めに税金を払っており、ある程度の額までは会社負担の税金となり、個人には掛からないケースがあります。(おそらく $2,000から$3,000程度)
これはキャピタルゲインを見越したものではなく、日本に住居を持っていて賃貸をしているケースや銀行での利子収入も関係しています。
いくらまでの利益であれば会社負担の税金となるかは勤務先によって違いますので、興味があれば担当の会計士の方に聞いてみるのも良いかもしれません。
その金額を超えている分に関しては通常のキャピタルゲイン税が掛かります。
まとめ
米国のキャピタルゲイン税は連邦税と州税から成っています。
連邦税は収入によって決まるタックスブラケットと株式の保有期間によって決まります。
州税は居住州によって決められていて、この連邦税と州税の合計がキャピタルゲイン税となります。(ローカル税は要確認)
海外駐在員の場合は、ある程度の利益までは会社負担の税金となる可能性があります。
この税の仕組みをしっておけば米国でも安心して投資生活が送れますね!
*出来る限り公的機関の情報で調べましたが、もし違う等はありましたらご指摘頂けると助かります。